新しい世紀に向けて養育里親に関する里親制度とその運用の見直しについての意見・要望集

里親市民連合 りぼん
2000/12/25 厚生省へ提出


東京都文京区〈養子と里親を考える会事務局長)里親問題を踏まえた改革の必要

  • 里親養育についての最低基準の役定

    理由:
     里親制度は、1947年、国の制度として児童福祉法上に導入された.その翌年、その運営指針を示した家庭養育運営要綱が定められ、1950年、第四次児童福祉法改正を機に、里親を児童福祉の機関とする意図で、児童福祉施設とならんで里親の養育についても最低基準を定める親定(児福法第45条)が設けられた。にもかかわらず、今もってその最低規準が定められず、空文化している。児童福祉施設は、定められた最低基準を保障するために児童の保護費のほか施設養育に必要な人材と設備の確保が国と地方公共団体の予算を得て行われ最低水準の維持が図られ、それを向上させる努力が継続的に行われている。しかるに、里親制度は、里親業務にたずさわる専任職員を確保する基準すら定められていない。したがって、それを保証する国や地方自治体の予算を得ることができないままである。
     里親制度は、これまで里親の善意と里親の養育カを頼みにし、あるいは養子縁組を希望する家族によって維持され、他方、里親委託にその重要さと価値を見出だした一部の児童相談所の方針または児童相談所職員の個人的努力や試行錯誤によって支えられてきた。ただし、委託児童の保護費は施設養育の枠内で保持され、里親手当は1970年代から徐々に改善されている。
     里親養育を着実に行うには、その業務体制と支援体制を確保するための最低基準の改定が必要であり、それに基づく予算措置が国と地方自治体によって図られなければならない。

  • 心理福祉的支援が必要である

    理由
     里親委托児童は、委託以前の厳しい生活環境の下で、あるいは従前の施設生活において特定の養育者との間に児童に必要な愛着関係を結べないままに成長した子どもが少なからず存在する。その場合、心理的または発達上の問題がある。また親の保護を失ってからの期間が長ければ長いほど、その子どもの里親家庭こ適応するために要する時間が長く、その間に愛情と忍耐が里親に求められている。また子どもの発達上の問題が大きいほど、心理福祉的支援(とくに、小児清神科医、臨床・発達心理の専門家、ソーシャルワーカーなどによる多分野の専門家による)を必要としている。里親委託には、どの子どもをどの里親に委托するのかを評価するために、児童とその家族、里親に対する調査と診断を人間科学的基礎に立って行うことが必要と考えられるようになっている。そのためにバックアップ体制が里親養育に確保されなければならない。欧米では、多分野専門家の下で、あるいは多分野の専門知識と技術を駆使できる教育を受けたソーシャルワーカーの下で里親・養子縁組の援助は行われている。

  • 短期養育里親と長期養育里親および養子縁組里親の制度は、それぞれの目的に治って制度とその運用の在り方を見直し、発展を図るべきである

    理由:
     現在、養護児童の大多数は、親がいながら親の保護を受けられない子どもである。里親に委托される子どもは、親がいても家庭に帰る可能性のない者が大多数を占めている。その結果、必然的に委託は長期化する。最近では、年少の子どもは、特別養子縁組を前提こ委托される場合が増えている。その他に、引き取りがあらかじめ予定されている短期の里親委託がある。これらの目的の違う里親委託を相互に牽制せず、発展させるためには、委托児童と家族関係の維持、親権問題への対応、養育計画、適正な里親手当、支援のしかた、利用しやすい委託機関と支援機関の設定、民間団体の活用の活性化、そして措置権の分権化も考慮に入れた検討と見直しが行われなければならない。
     2000年度から児童養護施設等が里親支擾を行う「里親活用型早期家庭養育促進事業」が厚生省児童家庭局によって新たに加えられた。それを着実に進めるには、予算措置が十分図られなければならないだろう。児童のニーズによっては養子縁組へ移行することも可能な運用が図られるべきであろう。

  • 児童福祉における親権問題の解決

    理由:
     児童福祉分野では、親権問題はいまだ解決されていない。児童福祉施設長は措置された児童に対し、親権を行う保護者がない場合は、後見人が選任されるまで親権を代行する権限が与えられている。 しかし実際には、後見人の選任が困難な場合が多く、選任されないまま親権が代行されている。この場合、その子どもが未成年で養護措置が解除されるとき、その後の社会生活に必要な後見人、身元引受人、保証人等が得られず、困難に直面している。里親に委託された児童もその状況は同じである。
     里親委託では、里親になんら民法上の権利が付与されていない。そのため長期養育里親こ委託されている児童は、パスポート取得、手術の許可、姓の問題、医療券などに不都合な問題が生じている。
     海外では、長期養育の里親に監護権を付与するところも、措置継焼が必要な者には、20歳を過ぎても継続するところがある。わが国でも施設在所児童は20歳までの措置延長が認められている。施教養護と同じ機能が求められている里親養育において、この違いを設ける理由とは何なのだろうか?
     里親委託は、親の同意を必要とする理由で、委託できない場合が数多くみられる。親の同意を委託の基準とせず、措置が長期化する場合には、国や公的福祉機関が後見を公的に行える制度を作るべきではないだろうか。その上で子どもの発達保障とその最善と利益を原則とした措置を行えるようにすべきである。また、委託児童と家族の交流を重視した里親養育が図られなければならない。

  • 国連・子どもの権利条約委員会の日本政府への勧告を真筆にうけとめるべきである

    理由:
     1998年5月、子どもの権利条約委員会は、日本政府の報告に対して、条約20条に関連して以下のように勧告している。「特別の支擾、ケアおよび保護を必要とする子どもに対し、家庭環境に代わるものを提供するための体制を強化するための体制を強化するための措置を取るべきこと。」ここでいう家庭環境に代わるものとは、20条に示されている「特に里親委託、養子縁組または必要な場合には児童の監護のための適当な施設」と考えることができる。このように家庭的養育を康先する姿勢は、条約の前文に示されたつぎの原則に基づいている。「児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情および理解ある雰囲気のなかで成長すべきであること」。
     水年にわたって施設養護中心に築かれてきた日本の児童養護を急に変えることは不可能であるけれども、里親制度にこれまで欠けてきたものを補完し、里親委託の比率を高める努力が実効牲のある形で始められなければ、国連・子どもの権利委員会の勧告は止むことがないだろう。

    以上


    東京都板橋区 (養育家庭)      

    1. 親権のある実親が身勝手に子どもに接し、精神的動揺を子どもに与えることのないように、親権の一時停止等の方策を考えてほしい。

    2. 特に虐待の子どもを出した親については、ケアプログラムを早急に立てて、親をなるべく早く立ち直らせ、里親が安心して、また子どもも安心して帰れるようにしてほしい。

    3. 里親募集のとき、今の最低基準でなく、里親の養育基準を考えて、その基準に合った人を選んでほしい。里親の方も意識の向上に務めなければならない。

    4. このような運動をするとき、本来ならばその当事者の里子、里子OBが声をあげるはずのものと思う。私たち里親の力が足りなくて声を上げていく子どもたちを育て上げていない。
      少数とはいえ、現にそのような里子OBもいるので、支援する仕組みを作っていきたい。

    5. 東京の場合、ケースワーカーの担当年限、期間を長くし、里親をもっと啓蒙できるようなレベルの高い、資質のある人にしてほしい。

    6. 究極、里親と里子が緊張状態になったとき、24時間365日体制なので、1日でも里子を預かるところ、または里親がほっとできるところを用意してほしい。用意し合いたい。

    7. 1人の子を18歳まで養育し続けないと、「不調」という言葉で、まるでうまくいかなかった力のない里親という「烙印」を押されてしまう感じがある。そうではなくて、この里親さんがここまでなら、「どうもご苦労様。次はわたしが引き受けるわよ。安心して。」という里親がでるシステムにしていかないといけない。里親OBの活用も必要だと思う。

    東京都大田区 (ルポライター)

     里親制度(家庭養護)は施設養護と並ぶ日本の養護施策の2本柱である。にもかかわらず、児童福祉法が施行されて以来、現在まで両者は1:9の割合で機能してきた。国際的に子どもの人権が謳われている時代に、厚生省はなぜ施設養護中心の在り方を放置しているのか? 里親制度は換言すれば、子どもの発達・成長を保障する養育家庭制度である。「子どもに家庭を」の考え方は、語らずとも納得できる本来のもの。「家庭」は子どもの健康な発達・成長に重要な役割をもたらす自然な環境である。先進国の1国に列挙されている日本の社会において、いまだ施設養護中心のこの施策が継続していることは、児童福祉の分野が後進国であることを露呈しているに過ぎない。さらに、里親制度が当初より、成長を遂げることなく老朽化してしまった今日の在り様は、まさしく「国家の恥」とするべき現実である。「子育て」は暮らしの文化である。福祉文化の伸展を願う。早急に「日本の養護」の抜本的な見直しを図り、里親制度を根底から立て直していただきたい。里親制度が21世紀の社会を維持する重要な「子どもの養護機関」となって設置されることを、心から切望する。

    1. 里親制度の抜本的な見直しをしていただくために、厚生省が予算を組んで研究会を発足させ、国際的に通用する我が国特有の里親制度をつくられることを要求する。

    2. 都道府県の知事に対して、里親の責任をもつよう厚生省からの指示を望む。里親の社会的立場を確保し、高い評価が得られるように、ご努力を要請したい。

    3. 里親制度が社会を維持する重要な機関として設置され、機能していくために、厚生省と文部省が手を結んで、子どもの最善の利益を図っていただきたい。

    4. 児童虐待防止法施行後、これまでの里親制度を機能させることに、私は反対である。〈理由は、被虐待児には必要な治療機関を設けた上で、里親制度に入れることが望ましく、里親家庭(児童養護施設も)では養育の困難さが予想されるからである。〉

    5. 里親制度を充実させる一つとして、「子ども」のために 〈里親(養育)家庭〉 と 〈実親の家庭再建〉 とが同時に支援されていくことを望む。

    6. 里親と実親を支援するサポートシステムづくりが地域・社会で徹底されるよう、アピールしていただきたい。

    7. 「里親」の条件が検討し直されることを望む。
      A 認可の仕方 − 先に研修を受けて「里親とは何か」を知り、知識を得た上で希望者を募っていただきたい。
      B 里親手当ての低さを改善していただきたい。
      C 里親に公的な休暇を設置していただきたい。

    8. 子どもに対して里親が「バカヤロー・出ていけ・食わしてやってる」などの発言をしないよう、里親に「養育の最低基準」を設けていただくことを望む。

    9. 東京都を中心に各都道府県に里親制度の専門機関を設置していただきたい。

    静岡県沼津市 (42歳・実子2人・現在委託児童1人・里親歴4年・かつて3人を養育)

    1. 委託後の里親を支える養育の相談機関は絶対に必要である。

    2. 里親が真の養育力をつけられる教育制度をつくってもらいたい。

      A 長期養育でなく、週末や夏季冬季に預かる場合も被虐待児童を更に傷つけることのないように専門の教育とトレーニングは不可欠である。

      B 里親が真の意味での養育の専門家になれば、地域の子育て支援プランにも重要な役割を果たすことができる。そして近頃よく言われてる「地域で子どもを育てよう」ということにも積極的に参加するであろう。里親の質をあげることで「家庭に恵まれない子に家庭を」のレベルから多くの子どもたち、子育て中のお母さんをサポートする専門家の一人の立場で児童福祉に大きく貢献できることになる。

    3. 里親の法的な地位確立を望む。
       現在、施設に預けっぱなしでおむつを変えたことがない実観でも、「親」の同意がなければ里親に委託できないことになっている。最初、週末里親で預かった子も父親からの虐待で9カ月の時、頭部に大怪我をおい乳児院に入ってきた。その後1度の面会もなく放りっぱなしでも、私たち里親には出さないと強行に反対しつづけたという例がある。

    4. 里親制度の〃旧壁〃はいつまで保たれるのか?
       問題意識のある里親は、制度の不備の壁・養育の難しさの壁・里親会の旧態依然とした壁に囲まれている。真剣に取り組もうとしている人のやる気を、先輩の里親たちが削いでしまうことは見逃せない問題だと思う。

    埼玉県志木市 (50歳・現在、委託児童2人・里親歴20年・かつて3人を養育、内2人は措置解除後も同居)

    1. 里親家庭で子どもを養育させて欲しい。

       里親を希望している人たちになかなか子どもがこない。私も体力のあるうちにもう一人と思い、ずっと申し込んでいますが、きません。段々と気持ちがしぼんでしまいます。児童相談所、施設と何かすっきりしない流れを、遠くから見ている者には感じます。一日でも施設や一時あずかり所にいる時を少なくして、家庭で育てられるようにしてください。

    2. 被虐待児を養育できるように、里親が学べるサポートシステムをつくってほしい。
       心身ともに虐待を受けた子どもでも、研修や訓練を重ね、受け入れられるようにできるシステムをつくらないとできないことだと思っています。

    3. ケースワーカーの移動はできるだけ少なくしてください。

       公務員であるケースワーカーの移動が激し過ぎます。子どものことをよく勉強し、情熱のある方に専門職として担当して欲しい。

    4. 里親手当をもっと増やして欲しい。

    5. 保険証は一般の家庭と同じようにシンプルな形にしてほしい。
      長い間言い続けているが、改善されない。

    6. 「里親」という名称は動物や植物に使われているが、その使われ方に疑問が残る。

    7. 子どもの利益を中心に、親権の使われ方を整理してもらいたい。

    8. 乳幼児は母親的人物を慕えるよう、特に家庭で育てるべきである。

    東京都八王子市 (60歳・現在、委託児童2人・里親歴13年・養護施設の保母から養育家庭へ。ファミリーグループホームも体験。かつて3人を養育)

    1. 幼児期から1対1の親子関係が大切です。

       集団生活の乳児院や養護施設で長い期間生活するよりも、なるべく乳幼児期に養育家庭で1対1の(親子関係のような)こまやかな関わりの持てる養育をした方が子どもにとっては大変重要なことです。
    2. 里親が入院したり、緊急時に預かってもらえる場所があると良い。

      例えば、民間の養育家庭OBや地域の中でお世話して下さる方、あるいは児相の一時保護所。

    3. 子どもを養育家庭に預けっぱなしにせず、常時適切なケアを望む。

    4. 経済面について

       学校に必要な費用は、実情にあった分を出してほしい。
       例えば、東京の場合、夏期等特別行事費1件につき、3千円となっているが、実際は小学5年の臨海、林間学校は2万円近く必要です。また、中学2年の校外学習(スキー)では、一様に2万7千円を(生徒1人分)支払わなければならない。さらに、中学生になると、塾に通わせたいと思っても(学力遅滞児が多い中)月2万5千〜3万円かかる。また、小学生の子どもに何か習わせたいと思っても、月謝が高い。いま私の2人の子どもは、小学1年生から(今中3の子どもだが)そろばんを習っている。月謝は1人5千5百円で、夏冬に冷暖房費が一回ずつ、2人分3千円と、級を取るためのテスト代〈9百〜2千円)かかっている。
       夏休み中などいろんな経験をさせたいと思う(特に小学生のときに)。施設生活が長い子どもほど、キャンプや家族で旅行するなど、いろんな経験をさせたいが、4人も子どもがいると費用が大変。交通費分だけでも出してほしい。

    5. 東京では、11カ所の児相があり、いろんな児相から子どもが委託されるため、心理判定検査、脳波検査を受ける場合、子どもが委託された児相で検査しなければならず、大変でした。

       今年の夏に経験しましたが、2人の子どもを検査してもらおうと思った時、それぞれの児相で受けなければならず、一日がかりで二つの児相をかけまわったことがあります。脳波検査は児相センターでなければ受けられず、別の日ということで日を改めて再度出かけましたが、暑い時で大変な思いをしました。脳波検査の結果は、以前はすぐその場所で聞けましたが、今回は日を改めて、子どもの委託された児相に聞きに来てほしいと言われました。検査はすべて児相センターで受けられるようにしてほしい。
       また、結果を養育家庭にもきちんとした書類で(養護施設には送られてきている)出してはしい。児童表もなく、何も分からずに、ワーカーに簡単に説明されて受託している場合が多いので、この点についても考えてほしい。
       秘密保持の問題もあると思いますが、必要な子どもに関する情報は、書類できちんとほしいと思います。

     長い間、養育家庭を体験した上で、金銭を投じてファミリーホームとしての条件を整え、当人たちが強く希望しているにもかかわらず、なかなかやらせてもらえなかったケースも少なくない。子どもを委託してほしい。


    千葉県流山市 (47歳・実子2人・現在委託児童2人・里親歴5年・かつて1人を養育)

     里親として、高1〜卒業まで預かり、その間社会性、家族の絆の大切さ、そして個人としての判断力を高めることを養育のポイントにしてきた。この不況期に、いざ就職活動を開始する段に経済の基盤となるものをもっていない。(生活資金、免許・資格は高校の卒業証書のみ)では、アパートを借りる資金は県・国の補助金を充てるとして、給料日までの生活費や、必要な運転免許はどうするかの問題に直面した。里親会の支部会で相談したが、里親が負担してやればとのこと。なんとか子どもたちのために、里親の経済力にかかわりなく、安心して社会に出ていけるシステムを作らなければとNPO法人を立ち上げた。しかし、千葉県里親会や支部からの協力は得られていない現状を考えると、次の問題点が浮き彫りになってくる。現行里親制度の不都合ともいうべき部分なので、改善が望まれる。

    1. 養子縁組希望の里親と、養育里親に区別がない。両者は目的がちがうはずなのに同一組織として無理な機能を果たそうとしている。(この二種類があることすらPRされていないし、里親会入会時も説明されていない)

    2. 受託前後のカウンセリングやアフターケアではなくナウケアの重要性を認識して、現在預かり、迷い、悩み、とまどっている里親と子どもたちの両方を守ってほしい。

    3. 養育の措置終了の18歳以後の子どもたちは、現在の法律の盲点であり、現代のブロックボックスになっている。

    4. 全国里親会に対し、法改正に向けての署名運動を展開するようにと要求をしたが、返答なし。

    5. 児童虐待防止法が施行されているが、それにともなう施設と里親の体制がこのままでは、当然行き詰まりができる。なにより犠牲者である子どもたちにも、積極的な癒し、回復を与えるものとはなりえない。そのためには、まず法の見直しをお願いし、戦後55年たった今、目的を明確にした里親制度へと変革すべきだと考え、私どものアニー基金を通じ、一石を投じております。

      A 里親として、自分のところに虐待児はこないと信じているが、実際には不意に預けられてしまう。
      B 子育ての終わった方々のボランティア(私利私欲のない)里親登録を望む。

    群馬県勢多郡 横堀ホーム(ファミリーグループホーム) (68歳・実子2人・現在養育児童5人・〈委託児童3人〉+成人4人・里親歴19年)

     これまで委託児童20人(障害者を含む)を養育。その一方で、家庭や福祉施設など他の機関から迎えた子ども40人を育て、成人40人(高齢者、障害者を含む)と暮らす。電話・手紙・訪問者などによる相談は300件以上。

    1. 乳児院から私どもに委託された赤ちやんは、無表情、無気力で驚いた。どんなにかかわりをもっても「特定の人」の関係が結びにくい。乳児院での養育は考えるべきである。
       乳児院や養護施設の体験者で、退職後、里親を希望する人もおられる。これらの人たちの専門性を生かしていただきたい。

    2. 登録された里親、または希望者に対して、委託前、委託後も、子育てについての知識や技術の研修を早々に計画・実行してほしい。

    3. 児童相談所の機能の弱体化、専門性のなさが、里親の開拓に大きく影響していると痛感する。

       児童福祉司やケースワーカーの専門職が少なく、その上異動が短期間に実施されているため、現場に入っても実習経験の少ない方が多い。それゆえ、問題に対する理解に手間取り、的確な指導や判断がなされにくい。特に、緊急時の対応には手が打ちにくく、取り返しのつかないことも多く経験してきた。(短期でもよいので、里親になること、経験することをおすすめする)
    4. 一時保護所における生活の仕方や指導の在り方、またその期間について疑問が残る。

    5. 施設養護と里親養護は車の両輪のようなものであると考えるが、トップが施設、そのずっと下が里親養護と考えておられるような風潮を感じる。里親制度が「子どもの養護」に果たす役割の大きさを、国民全体が見直し、再認識するときが来ている。

    6. 里親の意見を聞かず、一方的に、直接的に児童福祉司がかわってきて、取り返しのつかない状態となってしまい、里親と子どもが長年にわたって築いてきた絆を一瞬のうちに切られてしまった辛い、苦い体験を何回もしてきた。他の里親からも同様な話を何度も聞く。ぜひ、専門職として、里親の勉強をされた福祉司やケースワーカーの配置をお願いしたい。

    7. 里親の登録の決定、委託への時間がかかり過ぎる。

    8. 里親制度や里親のPRを徹底し、一般市民に他人が子どもを育てることが特別なことではないという意識を盛り上げていただきたい。また、そのために里親としても具体的に協力をしていきたい。

    9. 地元の小中学校に通学する子ども、そして高校生の里子が、名字の異なる保護者をもって育てられている。そのことを決して特別視しないように。誰にも、どこの家庭でも、親や家族が育てられない事態がいっ起きても不思議はない。必要なときには堂々と福祉機関を利用し、明るく生きていけるような社会にしていけたらと切望する。そのためには、教育現場にある人々に対しても、研修の機会がほしい。私は学校で先生や生徒たちに特別視されて泣いた昔の子どもたちの声や顔が忘れられない。

    10. 家庭で親に育てられなくなった子どもたち、また、問題を起こしてしまった子どもたちが、心から依存できる保護者のいる温かい家庭、その環境の中で養育されることを願ってやみません。そのために、里子を育てたいと希望している方が、うまく養育していくための、研修・訓練をすみやかに立ちあげてほしい。

    11. 養育里親の手当、委託費は施設並みにしていただきたい。

    12. ファミリーグループホームの推進をぜひお願いしたい。

    東京都川越市 (61歳・現在措置解除後の子ども1人を同居させている・里親歴30年・かつて3人を養育)

    1. 子どもの姓を大切にしよう。
       東京都の養育家庭制度は、とてもよい制度だと思っておりますが、里親に委託された子どもたちの大半が、里親の選択により、里親の姓を名告らされています。子どもたちにとってどんなに迷惑なことか。不調で、自立する前に里親さんと別れなければならなくなった子どもがいたとします。子どもの気持ちを考えてください。行政は、姓の判断を里親に委ねてきました。子どもの姓は子どものものです。里親の姓に変えなければ子どもが育てられないのであるなら、行政も里親を考え直してください。
    2. 里親はもっと勉強を。行政側も勉強を。
       社会の変化の激しい中での、子育ては大変なことだと思いますが、委託してしまうと里親さんは会にも顔を見せません。これで子育ての仕事がうまくいきますか。子どもには、勉強勉強というくせに、ご自分はとんと勉強しませんね。
       行政も里親に甘えているところがあります。介護ヘルパーのように資格が必要ですね。
    3. アフターケア制度の確立を
       行政は措置解除した18歳から20歳の子どもたちのことは里親のボランティアにたよりっきり。これでよいはずがない。制度化して、安心して子どもたちが自立していけるよう、予算を組んでほしい。
       専門学校に通う我が家の子どもも、2年間の学費216万円のうち、東京都・雨宮・杉浦基金から130万円、残りの学費衣食は里親さんお願いね、という調子の流れの中で養育していますが、子どもの希望をかなえられない里親もいます。
       日本の大切な子どもたちを育てている仕事をしている私たち里親が、安心して子育てができるように、アフターケア制度の確立をお願いしたい。
    4. 子どもは家庭で育てられるべき。
       子どもたちにとって、乳幼児・児童養護施設は必要か?
       現在の行政、施設の仕組みでは、なくなることはまず考えちれませんが、せめて乳幼児は、家庭で(里親に)育てられるよう、働きかけていかなければいけない。

    埼玉県大里郡 (50歳・実子2人・里親歴19年)

     これまでに委託児童11人、施設を出た青年との同居5人 養育里親として、必要とする子どもたちに家庭を開放し、子どもとともに生活をしている。

    1. 虐待の定義について
       今回の虐待防止法の定義は、「外傷」「性的」「ネグレクト」「暴言」の4点であるが、これに「乳幼児期の不当な扱い」を入れていただきたい。
       子どもが乳児院から出られない理由の一つに、実親が里親に出さないことがある。親権者が拒否すると児童相談所のワーカーは、押し切ってまで里親に措置ができない。
       一番大切な乳児期に非人間的な扱いを受けることは、まさに虐待である。

    2. 虐待する親のケアについて
       虐待をする親を更生させる機関を設置し、専門家を配置してほしい。ここでいう専門家とは、知識と経験積み、信望の厚い人のことである。
       虐待はなぜ起きるか、原点に戻って検証すると、虐待をする親も子どものときに不当な扱いを受けていた例が多い。要するに繰り返しており、どこかで止めなければならない。また精神的に病理をもっている場合もある。
       これらの親とまともに取り組むには、かなりの専門家でないと対応ができない。

    3. 養育家庭の必要性について
       問題を抱えた児童を受け入れる専門里親「養育家庭」を啓発してほしい。特に虐待を受けた児童ほど、暖かく迎えてくれる親代わりは不可欠である。
       人間はこの世界に生まれて、人類の仲間として受け入れてもらったことの実感が必要である。特に乳幼児期には一対一の愛着関係が必要で、この時期に無条件の愛を実感することで、安心と自己愛が芽生える。犯罪者の多くの人は老若男女を問わず自己価値が低く、人間不信であり社会に反感をもっている。実親が養育できないときや不適切と分かった段階で、できるだけ早く別の家庭で安心して育つことが望ましい。対応が遅れることで、その不備が後になってどれほど多くの人々に負担を与えるか、はかりしれないものがある。

    4. 日本型養護施設の改革について
       今の養護施設を子どもたちが必要とする家庭的養育ができるように、根本的に改革してほしい。
       養護施設は家庭と違い、職員は3交替で変わり、1人の職員が6人の子どもを担当する。これでは愛着関係はもてず、不安を抱え自分をコントロールできない人間に育ってしまう。特に乳幼児期の施設保護は発達心理的に問題があり、すぐに対処すべきである。

    5. 養育家庭の制度確立について
       養育家庭の里母に15万円程度の手当をつけ、家計の安定をはかることで、子どもの養育に専念でき、里父も里母任せでなく、本来の役割が果たせる仕事につくことができる。
       子どもにとって、24時間いつも同じ親代わりの人が存在することで、情緒の安定が図れ、やがて成人になって社会へ自立をしていけることになる。
       虐待を受けた子どもほど、施設でなく家庭が大切で、しかも研修を受け訓練をされた里親が望ましい。これらを実現するには制度改革が必要である。
       また、施設職員の平均経費は45万円程度で、里母に15万円の手当を支払っても3分の1の経費で済み、財政の軽減に寄与することになる。ましてや里親は家屋をもっており、施設の建築費用を加算したら膨大な削減となる。

    6. 養育家庭をケアする専門機関の設立について
       養育家庭と措置児童のケアのできる専門の機関を確立してほしい。ここは通常の公務員と違い、必要以上の職員異動はなく、専門性の高いスタッフで構成されたものが望ましい。
       施設と違い、個人の家庭はさまざまな価値観や文化があるため、それなりの経験がないと対応できない。ましてや虐待を受けた児童の養護は知識と経験が必要で、児童のセラピーはもちろん必要であるが、里親の研修やカウンセリングは欠かせない。これらを実施できる「医師」「カウンセラー」「養育経験者」などによるスーパーパイザーの集団を理想とする。

    7. 子どものときから子どもを扱う訓練を
       小学生のころから高校生まで、赤ちやんや子どもを扱う訓練を取り入れ、発達心理の大切さを学び、子どもの扱いを自然に身につけられるような教育制度を確立してほしい。

     つい最近まで、子どものころから周りに赤ちやんや小さい幼児がおり、親が子どもを育てる様子を見、手伝うことで指導もされていた。これは後に自分が親となったときに自然に子どもを扱うことができる修業をしていたのだ。
     核家族化が進み、学校の勉強が優先の現在は、子どもに触れることもなく成人となり、結婚し子どもができて初めて対面する。また世の中の男性も仕事や付き合いで忙しく、家庭の父親不在が問題となっている。これでは子どもにとって一番大切な母親が「育児ノイローゼ」となり、虐待につながるのも無理がない。男性も子どものころから育児の大切さを身につけ、妻に協力する習慣をつけておくべきである。


    埼玉県比企郡 (里親)

    1. 里子にも、施設にいる子なみの保証をして欲しい。例えば、施設の子は社会的自立をする18才になったとき、なかなか自立がすぐにできない子がでた場合、自活訓練事業という形で、入所児童として社会自立するまで生活できる。また、虐待の子を受けるという時代になってきた時に、施設には専門カウンセラーが置かれる。それならば当然里親に対しても、そのような専門の機関を置いてほしい。細かいところでいうと、JRなどの運賃軽減が施紋の子にはあるのに、里子ではそういうことは聞かない。
    2. 埼玉では里子について、今年から養育状況書が年に1回書かれるようになったが、施設では義務として当然、年に1度最低限の児童相談所の先生の訪問、養育状況書となっている。里親の方は今年からの実施で、義務として整っていない。
    3. 子ども自身が里親に委託されて感じていること、意見を述べる機会も、施設の子と同じように、里子にも保証してほしいと思う。

    東京都板橋区 (養育家庭)

    1. 子どもが就職するとき、2人の保証人が必要だった。1人はうちが勿論なるが、もう1人として養育家庭センターのワーカーさんにお願いしても、なれないという。養育家庭制度としてあるならば、最後の社会へ送り出す所までの、この保証人の間顔を制度の中で考えに入れて、運用してもらいたい。

    2. また、18才を過ぎて1年位経ってから、職をやめて再就職となったときに、保証人は誰がなるのか、深く考えてほしい。

    (これに対して、次のような応答があった。
    1.銀行の保証協会のように、お金のやりとりが必要であるが、施設を卒園した子、里親家庭をでた子に対して、保証人になりましょうというところがあります。2.児童福祉法の33条7に「福祉のために必要があるときは、家庭裁判所に対し、未成年後見人の選任を請求しなければならない。」と、児童相談所長の責務としてあるということは、後見人を選任しなくてはならない。しかし、これができていないので、これをカバーするためには公的親権制度の創設が必要。)


    東京都八王子市 (養育家庭)

     20年、里親をして5人の子を育てて、もう終わりにしようと思っていたが、今日30年で61才の先輩のお話を聞き、あと10年やってみようと思った。どこが変わったらまた自分ができるようになるか、という観点で2点。

    1. 私たちは関係機関にたくさん要望して、頼って来たように思う。私たち里親同士のサポートで、解決できることもあったのではないか。一人の里親が全てを背負い込んでしまって、新しい里親さんは毎回同じ問題につき当たり、奔走する、そんなことの繰り返しだったのではないか。先輩里親の体験をもっとみんなのものとして、みんなで学び合うシステム、仲間作りをしてこなかったのではないかという自分自身の反省をあげます。一人の里親が子どものことで困っているとき、同じ里親同士で助け合える、融通しあえるという許可があってもいいのではないか。そういうシステムがないと、いつまでも里親は地域の中で、孤立して子育てをしなければならない。

    2. 18才で措置解除になる寸前で、子どものパスポートを取るために、里親として誓約書を書き、取得できた。5年間有効のパスポートを取るために、もう解除となる里親が念書を書くことはおかしい。もっと違う形で、私たちでない人が責任を負って、全国どの子ももれなく、パスポートが取れる制度にしていただきたい。この2、3年海外で里子も研修に参加するチャンスがあるので、どの子も意志をもって、候補に名乗り出られるようにしていただきたい。

    東京都葛飾区 (養育里親)

    1. 大事な乳幼児期の子どもを長期に乳児院に置くのはやめて、せいぜい半年くらいにしてもらいたい。乳幼児専門という里親を設立して、保母、看護婦資格を持った里親に月10万〜20万円を支払って育ててもらい、その後長期の里親に移行するようなシステムを作ってもらいたい。ちなみに、乳児院では一人の子どもに月40万〜50万円を受けている。経費の節減と子どもをこれ以上おかしくしないために、乳児院に子どもを長期に置かないでほしい。
    2. 愛着障害、虐待を受けた子どもに対する養育技術、専門的知識をもっと体系化した研修制度として作ってもらいたい.自分も研修を受けたが、半日ほどのもので、とても足りない。もっと研修体制を充実してもらいたい。

    3. 東京都の養育家庭センターは、養譲施設に委託されているため、はっきり言って、施設寄りの発言ばかりである。施設をかばうことばかり言い、職員もよく替わる。
       関西の家庭養護促進協会は民間であるが、あのような形で、都道府県に里親センターというようなものを別に作って、そこで、里親のケア、マッチングなどを行ってもらいたい。

    愛知県小牧市 (元児童相談所福祉司)

    1. 愛知県では乳児院の一人の赤ちゃんにかけるお金は月514,000円です。これだけたくさんのお金をかけるよりも、20万円くらいを里親さんで、30万円くらいは里親をサポートできる指導者にというように、出来れば関西の家庭養護促進協会のようなところにお金を委託して、職員が安心して仕事が出来るようにすべきと思う。

    2. 養子縁組家庭については、これは私が実践していることですが、養親から誓約書を取っています。少なくとも養子縁組される方には、これくらいのことは覚悟して、わが子を育て始めていただきたいということが書いてあります。「リンゴ」と言われて、白雪姫の継母が食べさせた毒リンゴを思い浮かべる人もいるかもしれないけれど、「リンゴ」という或るイメージがある。同じ様に、「里親と言ったら或るイメージがわくような一定の限界性、守るべき基準を設けるべきと思う。


    山県上新川郡 (富山県里親会副会長)

    里親として

     富山県の里親の大半は養子縁組希望の里親である。『家』意識が強いので跡継ぎとして里子を求める人が多い。子供のための里親というより、親のための里子である。それでも養子縁組して安定した家庭ができることは、家庭のない子供にとって素晴らしいことである。
     少数ではあるが、子供のための里親ももちろん居る。子供のためというより、子供たちとの生活を選んだ人たちである。
     里親に対する研修、特に初心者研修をしてくれるように里親会や、児童相談所に幾度となくお願いしているが、なかなか実現しない。理由は、里親は個人として里子を育てるからということらしいが社会の一員としての子供を育てるのである。子供は里親のものではない。責任を持って、社会に巣立って行く子供を育てなければならない。
     幾人かの里親が集まってお互いの思いを伝え合うところから、自主的な研修が始まったのは10年ほど前からである。初めは女性だけの集まりだったが、5年前からは家族を巻き込んでのキャンプに発展した。里親だけでなく児童相談所の職員や、施設の職員、障害者やその親たち、里子OB、ボランティアも参加する緩やかな人間の輪ができた。里親会の正式な行事として認めらるようになったのは今年からである。認められると逆に里親会が前面に出て、融通のきく緩やかな輪がうまく作れないというやっかいな問題も出てきた。運営は人によるので今後に期待したい。
     わが家には療育手帳を持った子供たちが居るが、一般的な里親の希望は「頭が良くて、性格が良くて、変な係累が居ないこと」である。問題がある子供だからこそ、家庭で手厚く育てる必要があると私は力説しているが、児童相談所の意見は「そんな里親はいない」である。「いないからこそ、人としての理解を深めるような教育を私たちにしてください。どんな子供でも育てられるように」と余り期待は持てないお願いを繰り返している。
     里親の仲間とは、お互いの都合が悪い時は、いっでも預け合えるような関係をつくろうねと約束している。一人で悩まないでみんなで相談しようとも話し合っている。一部の里親の仲間たちではあるが、確実な信頼関係を築いてきた。ただ旧態依然とした考えの人がいるのも否めない。富山県の里親の最年長は90歳を越えているのである。
     短期里親を別にすれば、長期の養育になることが多い。子供を委託された時の担当の職員が、いざ相談しようと思った時に、児童相談所に居ないということは今や当たり前になりつつある。5歳で預かった子が思春期になり、久しぶりに児童相談所に電話したら、知っている人は誰も居なかったということだってある。もちろん書類も残っているし、相談にも乗ってもらえるが、心細いことは言うまでもない。問題が起きた時、里親は自分の育て方が悪かったのだと思いがちである。社会の子供を個人が育てているのである。行政の手厚いフォローがあって当然である。児童相談所だけでなく、幼稚園や学校も協力すべきである。有り難いことに我が家の子供たちは、地域や学校でとても大切にされている。校長先生が「子供の古着で悪いけど」と服を袋いっぱいに下さったり、地域の人が「余った
    野菜だけど」と野菜を持って来て下さったりする。里親が「この子たちは社会の子供だけど、私たちの大切な子供です」とアピールすることが子供を守ることにつながるような気がします。私の目の前にいる子供たち、幸せになって貰いたいです。そして私も幸せになりたいからアピールします。


    栃木県小山市 (養育里親)

    1.  『子どもを集団で育ててはいけない。』ということをすべての子どもに家庭をもつ権利を推進した米国のホワイトハウス会議(第1回1909年)などイギリスやアメリカ合衆国の参考になるところは積極的に取り入れて推進してもらいたい。

    2. 現在多くの子どもたちは虐待、ネグレクトの体験があります。
      里親にはこのような子を養育できるよう専門的な研修を充分に行ってほしい。
      この研修なしに被虐待児を里親に委託することのないようにしでほしい。

    3. 子どもを返した里親の原因究明をきちんとしてほしい。
      これは、親も子も不幸な経験ですから再発防止の意味です。

    4. ボーダーラインといわれる思春期の子を治療的アプローチできる専門里親の養成を緊急にしてほしい。

    5. 『わたしがこの子の立場だったら』運動を展開してほしい。

    東京都板橋区 (養育家庭)

     里親をして28年lこなります。子ども達は社会に出て働き生括もそれなりにしています。これが里親の役目、里親となって、子ども達と共に生きてこられたことが何よりうれしく思っています。

    1. 里子が我が家にきたのは幼児のときです。つい可真相に思い、我が家の姓を名告らせてきたが、18才までその姓を名告る事は子どもにとって、辛かった事だと気づきました。何故かと言いますと今までの交友関係がおかしくなると言ううのです。「たかが名字、されど名字」と子どもはいいます。養育家庭をするとき、子どもにとって最善の方法を選びたかった。子どもの実名で育てるべきか、また里親姓にて育てるべきか、子ども側にとってどれが一番大切なのかをこれからはもっと真剣に考えてほしい。

    2. 子どもを産んでも育てられない人、育てようともしない人は、親権を一時預かるなど、国が関与して欲しい。また一方では実親を「親」として再び教育するシステムが必要です。育てようともせずに大きくなると、俺の子どもだ、と言って連れ去る実親がおりますが、子ども側に立って子どもを守る国であって欲しいのです。

    3. 私達里親は、センターの中に所属し、里親ワーカーさんにいろいろな問題が起きたとき相談をして来ました。ワーカーさんも里親との間に立って難儀をしている様子がわかります。それは児童相談所との関わりがあるからだと思うのです。もっとワーカーさんに「力」と権限が欲しいです。児童相談所の職員と同列に位置し、考えを述べて実行できることです。

    神奈川県横浜市

    1. 里親制度に関する基本的考え方

      • 全国一律の制度ではなく、その地域、地域での児童福祉上の最大の課題は何かを考えそれに合わせ制度内容を各地方自治体で一部修正できるようにすること。
      • これから益々増えることが予想される被虐待児童の保護指導に対処する為には、従来の一般里親の他に専門的訓練を受けた里親を育成する必要があること。
      • 里親こ対するバックアップ体制のシステム化
        従来の児童相談所のバックアップ体制では不十分である。里親の住所地の最寄りの児童養護施設等と密接な連携を図り、里子養育についての指導を受けるとともに、里親の休養等のため里子を児童養護施設等に随時一時預かりができるようにすること。

    2. 里親制度改革についての私見

      • 保育所入所待機児童解消対策の一環としての里親制度の活用
         首都圏では、共稼ぎ家庭の増加に伴い、保育所入所待機児童が急増しており、その解消対策として里親制度が活用でさたらよいと思う。被虐待児発生予防にも繋がる。
          
      • 専門的訓練を受けた里親育成対策の一環としての児童養護施投等職員の独立化支援
         医師が勤務医から独立して開業医になるように、児童養護施設職員も独立して「専門的訓練を受けた里親」として認定され、仕事が出来るよう、公的支援制度を創設してほしい。これは、児童養護施設等職員の励みにもなり、また、一般里親の児童養育技術の向上にもつながると思う。

    東京都八王子市 (養育家庭)

    1. 子どもにいわれのない差別や区別をしないでほしい。
      家庭・近所・学校・友人関係・保健所・市役所・警察・病院の窓口などで、子どもに肩身の狭い思いをさせてはならない。

    2. 里親に対してセンターワーカーは、前向きで具体的な指示を的確に与えてほしい。
      同時に、ワーカーばかりが重荷を背負うことなく、担当の福祉司たちも同列の立場に立って現場を見てほしい。

    東京都昭島市  (和泉短期大学専任講師)

    里親制度の問題について

     12月17日のこ案内をありがとうこざいました。大変残念ですか、当日は既に予定があり参加でさません。養育家庭センターワーカーとしての体験から、里親制度の推進を阻む問題として考えていることを述ペさせていただきます。

     これは、里親制度の問題というよりも、それ以前の社会福祉・児童福祉の根本的な問題かもしれません。まだまだ私たちの社会においては、サービス利用者の権利を護る、最善の利益を因るという認識が乏しいからです。その中でも特に児童養護問題は、親の無責任論にすり替えられ、権利侵害を受けている子どもの代弁者か少なすぎるという状況にあります。里子に限らず、子どもが当然享受すペき権利(一人一人か尊重され、よりよい環境で育てられる)が護られていません。社会的養護を必要とする子どもの処遇を決定する機関(児童相談所)では、その体制的な問題(充分に対応できるスタッフが確保されていない、スタッフの専門性の問題など)からも、ケースアセスメントができていません。当面の問題解決に追われるばかりで、長期的な展望も処遇理念もないといっても過言ではないと思います。(そのような体制の中でも、真摯に取り組んでいる事例があることは事実ですが、全体の中ではあまりに少数です)
     ソーシャルアクションを起こすことのでさない子ども達、家族、代弁者の少なさから、必要な予算は確保できず、財政状況の悪化によって容易に削減対象になっています。

    1. 処遇理念の不在
       日本では実親家庭での養育が難しいケースヘの対応を考えるとさ、子どものパーマネンスの保障、家庭生活を営む権利の保障か軽視されています。施設中心の養育体系の中で、里親は常に、施設での受け入れができない状況を補完する形で利用されてさました。どのような事情のある子どもでも、まずは家庭生活を保障すべきという、子どもにとっては基本的な権利の保障かまったくありません。

    2. 里親家庭の不足
       真っ先に里親委託を検討できないのは、必要な里親家庭か足りなさすぎるから、という理由が大きいともいわれます。里親家庭数の不足に対して、有効な開拓活動がなされていないことも事実です。人々の情に訴えるだけのコピーでは、里親の役割や必要性は広まりません。
       このような状況が生み出される背景は、子どもを育てるという営みに対して、あまりにも親や親族といった個人の扶養責任ばかりが強調され、子どもの権利を護り、子どもを良い環境で育てることの責任が、国や地方自治体といった公にあるという認識が乏しいためと考えられます。とりあえず子どもを受け入れることのできる施設の数が揃えば、児童養育の質や子どもの権利は後回しになっています。日本では特別な事情がない限り、「親族里親」は認められません。このことからも私たちの社会がいかに個人の責任を強調しているかか判ります。

    3. 児童養育上の支援を受けることへの抵抗と里親支援体制の不備
       親による養育が適切になされるための支援を整えなくてはならないという認識の乏しさと同時に、親側にも、家庭生活というプライベートな部分に公的機関か介入してくることへの抵抗が大きく、自分の子育てを干渉されたくないという意識があります。
       里親の立場での児童養育は、社会的養護の一つの形態であり、里子を受け入れた家族やその家庭生活に対して、公的機関が介入してきます。また里子養育のさまざまな局面で、里親自身が自分の立場を明らかにしなくてはなりません。このようなことに対して、里親側にも抵抗があるし、同時に本来ならば里親養育を支援すべき立場の児童相談所や関係機関の側にも、里親に委託した以上里親に任せるのがよいとする風潮があるのではないでしょうか。
       里親の抵抗感は、里子養育に絡む里親のさまざまな苦労に対して、有効な援助を行えるワーカーが極めて少ないことからも生じています。ワーカーや機関が、子育ての苦労そのものを知らなさすぎますし、里子養育独特のプロセスをあまりに軽視しすぎています。つまり、里親ケースワークがなされていないのです。
       私たちは、子ども(里子だけではなく、養子も実子も)を養育することが、決して個人の厚意だけでうまくいくものではないことを、まず認識しなくてはなりません。その上で、子どもが家庭の中で適切に養育されるために、どのような支援が必要であるのかを具体的に検討し、実行しなくてはならないのです。更に、里子養育に独特のプロセスや葛藤を知り、それらに対応しなくてはなりません。
       現状として、里子に適切な養育を提供できる里親を育成するための研修プログラムや支援があまりにも不備です。それを実行するワーカーも足りません。

    4. 児童養育に対する社会的評価の低さ
       子育てという営みは、長く女性が担うべき役割として認識されてきました。性的役割分業の中で、家の中を任され続けてきた女性達への社会的評価は低く、そのために子育てというもの自体が、誰ができても当たり前のこととして位置づけられてしまっています。こうした子育てへの認識は、「里親は自ら望んで、実子以外の子どもの養育にあたっているのだから、里親が自力で里子養育を成功させて当たり前」の発想に結びつきます。その養育上難しい問題を抱える子どもであっても、「愛情と熱意」さえあれば子どもはよく育つ、と子どもの問題行動は養育者の問題として、片づけられてしまっているのです。こうした認識は、援助する側だけでなく、里親自身をも縛っています。


     里親は、地域社会における「子育て支援」のための社会的資源の一つでもあり、同時に里親自身が他の資源を活用しながら社会的養護を実践するものです。制度を推進する側では、子育てそのものを支援するための体制を整える必要かあり、児童養育を行う側では、社会的資源を活用することへの抵抗感を乗り越える必要があるのではないでしょうか。


    東京都八王子市  (養育家庭)

     東京都の養育家庭制度・ファミリーグループホーム制度はすばらしい制度だと思います。それなのに数が増えないというのには訳があります。制度は立派で確立していても各専門機関がうまく連携できていないのです。特に養育家庭に預けたら預けっぱなし、養育状況報告書に一年間の変化、心配していることを書いても、何のアドバイスもないまま10年15年が過ぎていきました。里親に任せていい場面と専門家と里親と協動していく場面をもってほしいです。そのために児童福祉の中に養育里親の役割を確立できる制度に改めてください。身体に障害があっても、60歳・70歳になっても養育里親として参加できる制度を21世紀には実現させてください。


    大阪府大阪市  (彿教大学)

     1990年前後に起こったわが国における社会問題としての家庭内児童虐待の発見は、少なくとも二つの現実をあぶりだしました。一つは、この問題への対処における中核的社会機関である児童相談所のソーシャルワーク機関としての現実です。児童相談所における人的資源の質と量の問題は、永きに亘り実務家や研究者の批判の的でありましたが、少数の一般公務員でつとまる形でしか業務を遂行してきませんでした。その典型的な結果が養護児童の施設入所託置一辺倒の施策・実務以外ではありえなかったのです。また、最近の報道で児童相談所が介入していながら、少なからぬ児童が虐待死した事実が公表されていますが、その責任を当該児童相談所の所長や職員がとって辞職したとか免職させられたという話は絶無です。このことは児童相談所というのは決して法制度上高度に専門的実践と倫理を要求されている専門機関ではないということの証でありましょう。こうした現状に何の根源的変更も加えずに、家庭内児童虐待の存在や通報義務について啓蒙広報活動を大々的に推進する結果、何が起こっているか、厚生省の官僚は知っているのでしょうか? まともな児童相談所のまともな児童福祉司は過労死するか燃える尽きる以外に道はないでしょう。そして、虐待問題発見以前よりもなお一層児童相談所は専門機関からはほど遠いものとなるでしょう。

     第二に、虐待問題の発見がもたらしたもう一つの現実は、虐待された児童のほぼ唯一の設置資源である児童入所施設のケア水準が、期待されうる機能、すなわち治療機能からほど遠いことが判明したことです。治療機能どころか、暴露されている多数の施設内虐待事件をみれば、50人を越す集団生活を典型とするこの国の施設ケアの現状は決して被虐待児の託置先として適切であるかどうか、厚生省も疑わざるを得なかったのであり、ゆえに被虐待児の治療のために心理臨床専門家の配置をアリバイ的に制度化し、加えて施設ケア自体の見直しを6名定員のファミリー・グループホーム制度化により実行したと思います。これは、戦後半世紀以上も変わらなかった要養護児童の見方の変更を地味ではありますが、国家自体が宣言したものと受け止められましょう。養護児童自体に何も問題はなく、衣食住と教育の提供でこと足れりとする児童観からトラウマをもった治療対象としての児童観への明確な変更です。私は70年代末に養護施設に託置される児童はすべて何らかの治療を必要とする対象であると学会で発表して、総スカンを食ったことがありますが、今回の虐待防止法の定義を当てはめると、児童養護施設に託置される児童で心理臨床職員配置の基準も実に論理的ではないと考えますが、資源の制約上そうせざるをえなかったのでしょう。とにかく国は施設入所児に従来とは違った範疇の者がいることを認めたことは、新たな展開として意味のあることだと思います。
     このように、被虐待児の託置先としての児童養護施設には大幅な見直しが行われつつありますが、施設に比べ周辺的な資源におとしめられてきた里親託置はどうでしょう。家庭内児童虐待問題の発見は里親制度に何らかの衝撃を与えたでしょうか。答えは否でしょう。元来この国は里親制度とはどのようなものかまともに理解できている官僚を厚生省に置きませんでしたから、里親制度とは里親がいて里子を預かってくれる制度という理解がほぼ中心であったと思います。その証拠に虐待問題でクローズアップされたように、地方自治体における第一線社会機関がソーシャルワーク機関となっていないのです。松本武子教授が永年の研究で明らかにしてきたように、里親託置の児童ケア資源としての重要性は、児童相談所のソーシャルワークの在り方と密接に関連しています。里親託置の中心となる人的資源は欧米の発想では里親託置を担当する児童ソーシャルワーカーなのです。

     養護児童のニードに基づき、必要な代替家庭を探し、資源として登録し、事前研修を行い、適切な児童に見合う里親とマッチングさせ、両者の事前接触を見守り、試験的託置を行い、託置し、法律に規定された訪問指導を定期的に行い、いつでも里親や里子からの相談にのり、18歳になり託置解除になるまで継続して里子の福祉を第一に考え、専門的ソーシャルワーカーとしての実務を遂行する、そのかたわら里親募集のキャンペーンや里親会の研修にも協力し、成長した里子の親探しや種々の相談にのる、・・・・・・・こうした仕事が普通の公務員につとまると厚生省は本当に考えているのでしょうか? 考えていなかったから、施設に丸投げする児童相談所の通常業務を児童福祉実践と了解し、この半世紀を過ごしてきたのではないでしょうか。ですから、私にとって里親託置に関する厚生省への要望の第一は、まず地方自治体の児童相談所のあり方を、特に人的資源の観点から全面的・根元的変革すべきである、ということです(これは虐待防止の観点からも非常に強く求められます)。具体的には、大阪・神戸の家庭養護促進協会の職員レベルの家族的託置の専門研修を受けた家族託置専門児童福祉司を各児童相談所に最低一人は確保することです(現職者を研修に出向させてもよい)。第二に、児童養護施策、特に虐待防止施策における里親託置の資源的意味合いを明確にすること、です。一応、給与をもらっている職員がいる施設への丸投げの方が素人の里親への託置より安全だとする官僚の素朴な考えはわかりますが、現状の施設への入所が里親託置以上に治療効果が期待できると確信しているのでしょうか。虐待を受けた児童のニードは集団での生活で充足できる、傷っいた心の癒しが多くの入所児童との強制的同居生活で可能である、と一体本気で考えているのでしょうか。こうした虐待を受けた児童には何が必要か、その児童の立場になって(自分の息子・娘の問題として)考えた結果到達した結論から、施策化され実務化されたと、心底から言えるのでしょうか。第三に、この国の政府・地方自治体はいつまで養護児童の育成責任の一端を里親の無償奉仕に依存し続けるのでしょうか。
     施設の職員の待遇を考えれば、同じ公的養護分担者として国家責任を遂行あるいは代行しているのであるから、篤志家の無償奉仕(としての労働)におとしめるのは無責任極まるといわざるをえません。このことに関連する問題は、里親という名称です。制度としての名称は果たしている実質的役割を反映していません。
     むしろ、社会的養護者、共同養育者、公的養護職員(公的介護に倣い)、社会的養育分担者、個別養護者、家庭養護者、養育支援者等、国家責任を施設職員と分担遂行している福祉従事者であるという含みがわかる名称に変更すべきではないでしょうか? そして、その説明責任に見合う報酬を当然支払うべきです。無償活動は説明責任を保証しませんし、大人の都合で託児解除などに容易につながり、国家責任遂行の実務形態としては実に問題があると思います。したがって、第四は、里親という名称を国家責任の分担遂行者として説明責任のともなう有給福祉従事者として実質を想起させる名称に変更すべきである、ということです。

     英国では、地方自治体のケア設置(里親・施設)を経験した若者・大人の受刑者・ホームレス・10代妊娠者・精神保健上の問題を抱える者に占める比率が余りに高い事実を政府が公表し、こうした社会的排除を受けた市民を生み出さぬよう(こうした問題に対処する国庫負担増に耐えられぬし、事前の予防に税金を投入する方がはるかに安くつくという論理で)、愛着保障・密接な人間関係保障・ケアを離れる若者への現実的支援などを中核とする児童ケア施策へと大転換すべく、国をあげ家族的託置振興策を(プレア首相が指揮をとり)推進しはじめました。養子縁組法改正や国家里親基準制定、全国里親託置推進運動や全国養子縁組キャンペーンなど、現政権の児童ケア大改造3カ年計画(クオリティ・プロテクト)の目玉となっています。民間機関も積極的に呼応し、カトリック児童福祉協会など、ケア託置を受けている児童全員を養子縁組させる運動を展開しています。
     なぜ、かの国のような取組をこの国でやらないのでしょう。それは一言で言えば、政府や地方自治体がこうした社会の最も弱い立場にある児童に対し、社会的共同親(コーポレート・ペアレント)であるという意識をもっていないからではないでしょうか。親と社会は児童をともに健全に育てる義務を負う社会的共同親である、という理念と意識の差が歴然としており、そうした理念と意識の施策・実務への体現努力という形での国家・社会の献身度の差が歴然と現れているのではないでしょうか?


    東京都町田市  (市民)

    1. 18歳以降のアフターサービスケアを考えてもらいたい。
       施設にせよ、養育家庭にせよ、18歳を過ぎると法的な保護から切られてしまう。子どもの経済的自立、住まいの自立、精神的自立はそれぞれ時期が異なり、個人差がある。にもかかわらず、施設や養育家庭の子は高校卒業と同時に一律に自立を要求されてしまうのはとても酷なことだと思う。

      A 就職、進学いずれにせよ、子どもが20歳になるまでは法の保護の対象にしてほしい。
      B 大学だけでなく、高校卒業後の専門学校や職業訓練校などの進学についても、奨学金の支給をしてほしい。
      C せめて子どもが25歳になるまでは、里親に精神的支えの役割を継続してもらえるよう、一定の経済的な補助(せめて子どもが帰省する盆・正月だけでも)が支給されたらと思う。同時に、施設の子にも18歳を過ぎても安心して帰ることができ、気軽に相談のできる場が必要だと思う。

    2. 里親の権利についても検討してほしい。
       以前、ある人から「里親って、施設の単なる肩代わりでしかないのかしら」というつぶやきを聞いたことがある。また、弁償責任は負わねばならない(制度的には賠償責任はないが、日常的には負うことが多い)のに、保険に入ることができないことや、子どもがパスポートを取るのに顔を見たこともない実親の承諾を得なければならない、ということなどを考えても、里親の権利のなさを思う。やはり「施設の肩代わりでしかないのか」と疑問が残る。

    3. 問題が起きたときの援助システム(養育センター、児相)を望む。
       日本の福祉そのものが「施設収容型」で、問題のある人は施設へ、という発想しかなく、あらゆる場面で「施設か、家庭か」の二者択一を迫られている。「子どもに問題が起きたときに、児相、養育センター、養育家庭の3者の風通しがもっとよければ」という声もあるが、福祉の思想が「在宅・地域中心」に発想の転換をしない限り、理想と現実は噛み合ってこない。

    4. 施設の子や里子が本名で生きていけるように、備見をなくす努力を。
       里子や施設の子が自分の名前や住んでいるところにプライドをもつためには、里親や施設関係者ばかりでなく、あらゆる人々がいろいろな人間や生活形態を認めあうことが前提だと思う。

    5. 制度や情報について、厚生省や都はもっとPRをしなければならない。

    東京都八王子市  (市民)

     身体に障害があっても、子どもを家庭で育てることは可能です。子どもに身体その他の障害があっても、地域で育つチャンスが必要です。共に可能性を信じて育ちあえる制度を望みます。


    大阪高槻市

    まず手掛けるべきことは、「乳児は里親に」を原則とすることである。

    1. まず、数十年じじり貧状態の里親の世界を、プラスの方向に転換させることが、ぜひ必要です。それなしには、親から虐待された子の里親委託がうまくいくとは思えません。そのためには、少し思いきった、しかし可能な提案をすることを考えるべきです。

    2. 「乳児は里親へ」は、そのきっかけを作れる標語です。乳児院の子供の総数は約2500人です。登録里親数よりもだいぶ少ない数です。日本には、数千万軒の家庭があります。ある程度の実務的、経済的支援があれば、施設に代わって乳児を引き取る家庭が、10000軒に1軒見つからないなんて考えられません。

    3. 手始めに、何ヶ月末満とかに限ってスタートする事だってできます。国はずるいから、乳児院の子供の数が減らせることはお金の節約につながるので、乗ってくるはずです。

    4. 現状では、養子か養育かの判断がつかないで困るといわれるかもしれません。
       どちらでもよいという里親を、今までは断ってきた(少なくとも私どもはそういう目にあった)けど、そういう人も結構いるはずです。かりに、養育里親のもとから、養子里親に移さざるを得なくなっても、里親より乳児院の方がよいなんて理由はありません。

    5. 数年前に2年間ほど、「乳児は里親に」と関係者に言って歩いた時期があります。反対のひとはだれもおられませんでした。