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特別養子制度のあらまし


施行:昭和63年1月1日
    昭和62年9月26日 法律第101号「民法等の一部を改正する法律」
             (民法・家事審判法・戸籍法の一部改正)
    昭和62年11月18日 最高裁判所規則第4号「家事審判規則の一部を改正する規則」


1 特別養子制度の目的
2 縁組成立の要件

(1)夫婦共同縁組
(2)養親となる者の年齢
(3)養子の年齢
(4)実父母の同意
(5)縁組の必要性
3 縁組成立の方式
(1)審判による成立
(2)試験養育
(3)社会福祉機関の関与
4 縁組の効果
(1)親族関係の終了
(2)戸簿の記録
5 離縁
(1)離縁の要件、手続き
(2)離縁の効果

事    項 内       容 根 拠 等
1 特別養子制度の目的  もっぱら子の利益を図るための制度であり実親による養育よりも、養親による養育が、将来にわたり子の福祉のため有益であることが、確実である場合に、成立が認められる。
[参考]普通養子制度
 目的については、明文の規定がなく、成年者を養子とするなど、多様な目的に利用することが可能。
民法第817条の7
2 縁組成立の要件  
(1)夫婦共同縁組  婚姻をしているものに限られ、夫婦がともに養親となることを要する。
(他の一方の嫡出子又は特別養子との縁組の場合を除く)
民法第817条の3
(2)養親となる者の年齢  審判時に25歳以上であること。ただし、ともに養親となる場合で一方が25歳以上であれば他方は20歳以上でよい。最高年齢は規定なし。
[参考]普通養子制度
 成年に達している者は養親となれる。
民法第817条の4
(3)養子の年齢  申立時に6歳末満(6歳前から引き続き「養親となる者」に監護されている場合には、8歳末満)であること。 民法第817条の5
(4)実父母の同意  審判時に、父母(法律上の父母)の同意を要する。
 ただし、父母が意思表示できないとき、又は虐待、悪意の遺棄等がある場合には、同意を要しない。
民法第817条の6
(5)縁組の必要性  父母等による監護が著しく困難又は不適当等、特別の事情がある場合で、子の利益のため、特に必要があるとき。
(配偶者の「連れ子」を特別養子にすることは可能であるが、困難である。)
民法第817条の7
3 縁組成立の方式  
(1)審判による成立  養親となる者の請求(申立て)により、家庭裁判所が成立させる。
[参考]普通養子縁組
 当事者の合意により戸籍法の規定に従い届出ることで成立する。
民法第817条の2
(2)試験養育  家庭裁判所は、縁組成立のため、養親となる者が養子となる者を6か月以上監護した状況を考慮しなければならない。(遡って6か月以上あれば可) 民法第817条の8
(3)社会福祉機関の関与  申立て前に、専門的な能力を有する社会福祉機関(児童相談所・第二種社会福祉事業の届出をした民法法人又は社会福祉法人)による助言、判定、斡旋を経ていることが望ましい。
(申立ての形式要件ではない)
S62/11/18 児童家庭局育成課長通知
4 縁組の効果  
(1)親族関係の終了  特別養子縁組の成立により、養子とその実方の父母及びその血族との親族関係(親族であることに伴う法律関係)は、終了する。生理上の父からの事後の認知は不可。
[参考]普通養子制度
 実親、養親双方との親族関係が生じるため、相続や扶養をめぐるトラブルがありうる。
民法第817条の9
(2)戸籍の記録  審判確定後、養親の届出により、実の嫡出子と同様の戸籍が編成される。
@ まず、養親の本籍地に養子の単身戸籍(氏は、養親の氏)を編成する。
A 次に、単身戸籍から養親の戸籍に編入し、単身戸籍は除籍となる。
B 養子の父母欄には、養親の氏名のみが記載され、続柄欄には、「長男」「長女」などと記載される。
C 縁組の事実は、養子の身分事項欄に「年月日民法第817条の2による裁判確定(単身戸籍)から入籍」などと記載される。
D 普通養子縁組をしている者や連れ子養子など、既に子が養親の戸籍に記載されている者は、この単身戸籍への移行は行われず、養親の戸籍の末尾に記載しなおす。
[参考]普通養子制度
 「養子」の呼称・養父母名及び実父母名が記載される。
戸籍法第20条の3
5 離縁  
(1)離縁の要件、手続き  協議又は訴訟による離縁はできない。
 下記のいずれにも該当する場合で、養子の利益のため、特に必要とするとき、家庭裁判所は、審判で離縁させることができる。
(養子、実父母又は検察官の申立て)
@ 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があるとき
A 実父母が相当の監護をすることができるとき
[参考]普通養子制度
当事者は、協議により、いつでも、戸籍上の届出をすることにより離縁することができる。
民法第817条の10
(2)離縁の効果  離縁の審判の確定に伴って、縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係が生ずる 民法第817条の11

更新日 99/1/12  シド